土曜日, 11月 21, 2009

「インパラの朝」(中村安希著・集英社)

思いつきノートにメモした「世界を巡る読書」という今年の冬のマイテーマが頭を離れないまま、デパートの書店をうろうろしていたら、おあつらえ向きのキャッチコピーが書かれた本が目に飛び込んだ。「『今夜、どこに住みますか?』26歳、47カ国、2年の旅、ここに始まる。」


26歳?女性?年下で女性の作家の本というのは私の読書コードから2重にはみ出ていたけれども、「世界を巡る…」のテーマにあまりにも当てはまってしまったのでこの「インパラの朝」を購入。冬籠りまで待てずに、通勤電車の中で4日間で読破してしまった。

面白かったのは、池澤夏樹は常に文化に目を向けて異国を書いているけれど、この中村安希はその文化の中での現地人の世界観を大事にしているところ。対モノではなく、対ヒトの視線で書かれている。

それの追及は最後に明かされる旅のテーマに即したものなのだけれど、モノ文化に染まってしまった日本人には、あるいは海外に長くいたことのない日本人には、思いもつかない世界観を世界の人々は持っている。海外支援だとか、貧困の撲滅だとか、そういうことに少しでも興味のある方には、一体何にお金を払っているのか知るために読んでおきたいお勧めの一冊だ。

物質的に満たされれば幸せという自分の常識を一度疑う、そんな体験のできる読書だった。